
夕張の医療再生に立ち向かう、尖ってかつ世慣れた医師・村上智彦
夕張市の財政破綻に伴い経営破綻が明らかになった市立総合病院の「公設民営」の引き受けてとし現れた村上智彦医師の「村上スキーム」(地域と地域医療の再生メソッド)を、元教育者の三井貴則之氏が「聞き手」として引き出した濃密な会話記録と言うのが相応しい一冊です。
副題の「地域医療再生の方程式」は、村上氏と「夕張希望の杜」役職員の共有理念の提示と言った捉え方が良いだろう。
本書のサードタイトルの「夕張/医療/教育」が、本書の内容を正しく伝えている。
三井貴則之氏の教育現場の荒廃を経験した元教育者としての地域と行政そして「親と子ども」に対する視点と、村上智彦医師の「患者と住民」に対する視点は多くの部分で重なり合う。
本書を通読すると、医療崩壊が単なる国の政策の問題のみではなく、日本各地の地域の深部からの「日本人の崩壊」「民度無き民主主義」の兆しとして捉えることも可能なようだ。
本書の帯には、城西大学の伊関友伸による次の推薦文が記されている。「全国の地方自治体で、地域医療の崩壊が起きている。医療崩壊する地域の特徴に、自分の健康や地域医療のあり方について「人のせい」や「人まかせ」にする人々が多いことがあげられる。村上智彦医師は、あえて行政や住民に対して厳しい発言をする数少ない人物である。この本には、本気の地域医療の再生メソッドが詰まっている。」
「聞き手」の力量により、極めてエキサイティングな一冊となっている。